NPO法人奈良県就労支援事業者機構は、再犯防止の観点から、罪を犯した人や非行少年の就労を支援し、住まいや生活計画を支援する団体です。

再犯防止、つまり一度罪を犯した人が立ち直るには、本人の努力は当然のことながら、周囲の環境が非常に大切です。
ひたむきに仕事に打ち込む姿、周りと協力しながらチームや組織として何かを成し遂げていくこと。
人は一人では生きていけない。自分も社会の中の小さな存在であることを知った時に、初めて自らの人生を歩もうとするのではないでしょうか。

当団体では、奈良保護観察所との協力体制を背景に、他の更生保護団体や保護司の皆様と連携しながら、協力雇用主様のご理解とご支援のもと、再犯防止と更生保護について取り組んでいます。

そのためには、受け入れ先である協力雇用主様の大きなお心と、ひとりの人間と真摯に向き合っていただける組織風土が必要となってきます。道を誤っても何度もチャレンジできる社会にしていくために、ぜひご協力ください。

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三種会員企業
株式会社AK TEC 芥 美咲様

今回インタビューさせていただくのは、天理で鉄骨工事の鍛冶、鳶工事を請け負っておられる株式会社AK TECの芥美咲様です。
株式会社AK TEC様は、当機構の三種会員であり、日本財団職親プロジェクトの参加企業であり、もちろん奈良保護観察所の協力雇用主でもおられます。
更生保護の集まりでは、いつも明るい笑顔を振りまいておられ、とても印象に残る清々しいイメージの方です。
なぜ、この更生保護の世界に力を入れておられるのか、そのイメージからは想像もつかない思いをお聞かせいただきました。

いつも笑顔で明るい株式会社AK TECの芥美咲さん

株式会社AK TEC様のホームページ

NPO法人奈良県就労支援事業者機構 中野(以下、中野) : 本日はお忙しい中、そしてお暑い中、わざわざ当機構の事務所までお越しいただきまして、誠にありがとうございます。

株式会社AK TEC 芥 美咲(以下、芥氏) : いえいえ、こちらこそありがとうございます。今日はどうぞよろしくお願いします。

中野 : ありがとうございます。まず最初に、会社の事業内容をお聞かせください。

芥氏 : なかなか一言ではわかりにくい業態でして、当社のホームページにも書かせていただいているのですが、鉄骨工事の鍛冶、鳶を請け負っている企業です。いわゆる「足場のあるとび職」ではないんですね。半分以上が足場のない中で鉄骨で鳶をしています。よくとび職で応募して面接に来てくださるんですが、思っていたイメージと違うと言われます。

中野 : 協力雇用主になられた経緯と、これまでに雇用された方について教えてください。

芥氏 : 更生保護に関わったのは、「ある人」との出会いなんです。2017年に一般求人で、「ある人」を採用しました。3か月の試用期間中、1か月くらい経過した頃に、社会保険を受けるために必要なので「住民票」を取り寄せてほしいとお伝えしたんですが、待てど暮らせど持ってこないんです。

中野 : おお、それは焦りますね。試用期間が過ぎてしまいますね。

芥氏 : そうなんです。だから、こちらが痺れをきらして、呼び出して問い詰めたんですね。そうしたら「実は。。。」と経緯を吐露しだしたんです。
昔、反社会勢力に在籍していて、故郷で大きな事件を起こしてしまい、名前が知れ渡ったことで誰も雇ってくれず、ネットを通じて知り合った彼女のところに転がり込んだそうです。そして奈良で就職活動。

中野 : 更生しようと思って頑張ったけど、環境がそうさせてくれず、行き詰っていたんでしょうかね?名前が知れ渡っていない奈良の土地で仕事を得て、なんとかここで!と思っていたのかな?

芥氏 : そうだと思います。彼女と一緒にうちに話に来たんだけど、彼女も知らなくて、その時に初めて知る。という状態でした。
本人の話を聞いていた当社の代表が、その事情も知ったうえで、「これからは堂々と生きろ」と言われて、ボロボロと泣き出しました。ホッとしたんでしょうね。出所して5年間、職を転々と変えながら、誰にも話せず、一生懸命更生しようと生きてきたんだと思います。

中野 : なるほど。固くなっていた心が、代表の言葉でほどけたんですね。それからその方はどうなりましたか?

芥氏 : 今もわが社で働いてくれています。彼女とも結婚をして幸せな家庭を築いています。他の社員には黙っていたんですが、どうやら気持ちが解れたのか、自分からカミングアウトしていたようです。彼をきっかけに、もっと採用してみようとなったのが、更生保護の世界と関わりだした経緯です。

中野 : そのあと採用された方々はどうですか?

芥氏 : その後、少年院に直接出向き少年3名を雇いました。ハローワークからは、成人の方が2名です。残念ながらいまはどなたも残っていません。

中野 : なかなか定着しませんか?

芥氏 : 少年3人のうち、一人は再犯をしてしまい、ひとりは突然来なくなってしまいました。もう一人は、真面目に勤務してくれていたのですが、少し障がいがある子で、なかなか仕事の段取りを理解してくれずに難儀していました。まじめな子で一生けん命だから見ていて辛くて。だから、よく現場で一緒になる警備会社の方に彼を推薦しました。警備の仕事なら、ややこしい段取りや、修練が必要な技術は必要ないと思ったので。そうしたら有難いことに、雇っていただくことができました。いまもたまに現場で一緒になります。本人も仕事が合っているのか、いまは伸び伸びと働いています。

大人の方も、一人は再犯で捕まってしまいました。もう一人の方は、一生懸命働いてくれていたんですが、体力がなく、特に夏場は、見ているこちらが気の毒なくらいにボロボロで。だから彼に聞いてみたんです。「どんな仕事してみたい?」って。そしたらその子、車が好きで、ずっと車をいじってられる仕事がいいと言ったので、2人でハローワークに通って、1か月半、色々な会社に断られながら探しました。そして念願かなって、自動車工場の検査の仕事に採用されたんです。地道な作業ですが、本人は車の部品を触っているのがいいみたいだし、座ったまま仕事ができるので気にいってるみたいです。いまも連絡をくれています。

機構の事務所にてインタビューを実施しました
代表芥亮一氏と芥美咲氏

中野 : すごいですね。本当に職親、まさに親代わり。別にうちに居なくていい。君に合ったところを探そう。本来なら我々、就労支援事業者機構がやらなければならないことですね。ありがとうございます。今後も引き続き雇っていかれるのですか?

芥氏 : 実は先日少年院で面談してきた子が9月25日から入社する予定なんです。

中野 : お、それはまた楽しみですね。採用するときはどんな条件や、判断基準があるんですか?

芥氏 : それが、何もないんです。皆、可愛いし、何とかなると思っているし、合わなければまた仕事探せばいいかな。って思っています。

中野 : いや、本当に頭があがりません。

 

インタビューは2025年9月9日、NPO法人奈良県就労支援事業者機構の事務所で行いました。
ここに書いている内容は少ないですが、冒頭、業態の説明だけでも30分以上お話いただき(理解が追いつかない私の責任です、すいませんでした)、全体では1時間45分もお話しくださいました。心から感謝申し上げます。

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